古今洋歌集

…力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をも哀れと思はせ、男女の仲をも和げ、猛き士の心をも慰むるは、それ歌なり。
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岩を祀る(3)

ヨーロッパで「岩」となれば、古代の巨石文化が頭に浮かぶ。
いわゆるストーンサークル、ストーンヘンジ、ドルメン、メンヒル、モノリス等の名で
呼ばれる建造物(ないし遺跡)で、場所としては、イギリス・アイルランドはもとより、
フランス・スペイン・イタリアと広範囲に作られている。



コンパクトにまとまりビジュアルも豊富な本として、
「巨石文化の謎」(ジャン・ピエール・シモン著/蔵持不三也監修、創元社「知の再発見」双書)が楽しめた。
さらに、今年出版された「巨石 イギリス・アイルランドの古代を歩く」(山田英春 写真・文、早川書房)は、
写真も素晴しく著者の巨石への想いが実によく伝わってくる。

呼び名は色々あるが、最も簡単に分類すれば2種に分類できる。
第1は、胴長の石を垂直に立てた『立石』。メンヒルと総称されて、
ポツンと単独ならモノリス、不規則でなく規則的に並べてあれば「列石」で、
環状ならストーンサークル、周囲に円形の土塁や掘あらばストーンヘンジと呼ぶ。

第二は、立石数個の上にテーブル状の大石を水平に寝かせた『石室』で、
ドルメンと総称される。この多くは昔の墓であって、周囲の盛土などが失われて
石組みが露出したものという。



こうした本を秋の夜に眺め読んでいると、はるか昔へ意識が遡っていくかのような感覚が味わえる。

巨石建造物が造られたピークは、紀元前4000年前、紀元前3000年前、最後は紀元前2000年前の3期があり、
紀元前1000年代を最後に姿を消した。
数は、イギリス・アイルランド両国だけで約1000カ所にのぼる。

何のために使われたか、多くの説がある。造られた時代や場所によって異なるが、
・墓であり集団祭儀の場
・太陽や月の運行を観測し祀るための天文観測所
・四季ごとに人々が集い交流し合う聖地

などが代表的だ。中世の伝説には「巨人がこしらえた」「お祈りをさぼって荒れ地で
踊っていた娘らが石に変えられた」、最近の伝説には「UFOの発着所だった」
「超能力のトレーニングセンタだった」というのもある。人智を超えたチカラがある
という説は根強く、子供を授かる、赤ん坊を浄める、生き物の生命力を強めるなどと
長く伝承されてきたようだ。

大きな岩そのものを祀るものではないが、「巨石は生きている」との伝説は多く、
夜中に踊り出す、水を飲みに河へ降りてくる、海水浴をしていた、谷間を散歩していた、行方知らずになった、とまるで人のよう。実に愛らしい。

ウェールズの詩人は「石は人の手を借りて歩き回るが、無理に動かそうとすれば
テコでも動かない。石は人々の願望に合わせて自在にカタチを変える」と謳ったが、
その言葉に共感できると山田さんは自著に記している。
また、今でもイングランド南西部エイブベリーの民宿主人は
「ここには、世界のあちこちから人がやって来る。石に呼ばれているような気がする、
という人が多いんだ」と語るのだそうだ。

巨石建造物(なかでもストーンサークル)の神秘さに魅了され、
18世紀には新たな擬古宗教=ドルイド教を興したウィリアム・スチュークリなる
人物は非常に有名で、白のフード付き僧衣、長い顎鬚、長い杖をかざす神官が、
ケルト神話やアーサー王伝説を上手に調合したイメージを演出し、これは現在でも
セクト的な活動として信奉者がいるそうだ。

また、20世紀の初頭に欧州でストーンヘンジやストーンサークルが脚光を浴び観光客を
集めるようになった理由のひとつは、写真撮影の技術が向上普及し、
絵葉書が大量印刷され世に広まったからだそうだ。
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