古今洋歌集

…力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をも哀れと思はせ、男女の仲をも和げ、猛き士の心をも慰むるは、それ歌なり。
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We Just Play… コールポーターの映画

宅配レンタルで「五線譜のラブレター」を観た。



コール・ポーターの半生記だ。
原題「DE-LOVELY」は、コールの作曲した「It'S De-Lovely」から取ったもの。
凝りすぎでわかりにくいが,邦題もこれまた情けない。

しかし、内容はひどくない。私は好きだ。「シカゴ」のような、
エログロ&カロリー過多のミュージカル映画とは違う。
むろんカロリー過剰だが、そのなかに和食の陰影もある。

ハリウッドの鋪道に名前のある御大アーウィン・ウィンクラー自身の
監督/製作だから、さすがに「引き算」もできるのじゃなかろうか。
あるいは、予算が足りなくなり「引く」しかなかったか?

映像は、全体に「つくりもの」感が丸出し。
たとえば、冒頭のパリのパーティ場面では、バルコニーから眺める夜景は、
エッフェル塔と花火。これが、いかにも「つくりもの」だ。
この映画自体が、ショー(舞台)なのだから、当然だね。
このショーの演出家という役回りが、ジョナサン・プライスだ。
この人、王立シェイクスピア・カンパニ出身だそうだ。

しかし、凝った、やや小賢しい構成ではある。
観客をイライラさせるほどに、現在(じいさんになったコール)と、
伝記上の若いコール(ケビン・クライン)が交互に現れる。
ほんとは、両方ともケヴィン・クラインだけどね。
メイクに5時間かかってるらしい。

ミュージカルに慣れ親しんだ人間なら、この凝った構成が楽しいのかも
知れないが、こちとら歌舞伎・浄瑠璃・能しか見ないから違和感ありだ。

先に悪口を書く。
伝記だが年号(19○○)が、ちっとも提示されない。
歴史ものではないか。「推して知るべし」なわけか。
だいたい、最初のシーンから1920年代のパリ、成功した(あるいは元々金持ちの)
若いアメリカ人らがうじゃうじゃいるパーティ・シーンだ。
酒とバラの日々を送っている、若い成金たち。

ローリング・トゥエンティーズのパリ。世界から芸術家が集まる。
スコット・フィッツジェラルド等が好きなら、すぐに歴史的背景が呑み込める
だろうが、私のような、普通の日本人にはかなり厳しい。

だいたい、私らはコール・ポーターの生い立ちを知らぬ。

映画オフィシャルサイト
で調べたら、
フィッツジェラルドがよく書いた「南部の金持ちの息子」なのだ。
しかも、イェール大学卒業後、ハーバードのロー・スクール行っている。
頭も良く、音楽の才もあり、それに,ゲイだ。

また、ときどきモノクロに切り替わるところも、観る側を?にさせる。
本編(カラー画像)自体は、演出家による「コール・ポーターショー」であって、
モノクロ画面は、死期の迫った老コールの「回想」ということか。

さてさて,好きなシーンは多い。

結婚後,夜伽皆無で夫婦生活している2人なのに、
コールが、友人一家の幸福ぶりに刺激され「子供をつくろう」と考えるシーン。

クーラーバケツに入ったヴーヴ・クリコと
グラスを2つ持って、妻ローズの寝室を訪れる。
コールは、まるで10代の若者のように初々しい。

妻リンダに、優しくも婉曲的に「やろうよ」って言うわけだが、
「どんな風にプレイしようか?喜劇風か悲劇風かミュージカルか道化か?」
とコールが聞く。リンダはただ笑って

「そんな難しいこと考えないで、We Just Play」と言う。
で、2人は手をつなぎ接吻する…。

このセリフ、ケヴィン・クラインのアイデアだそうな。
DVD特典(クラインとウィンクラー監督のトーク)で、言ってた。

次。コールが落馬し足を負傷した後、足を切断せず手術によって
どうやらこうやら杖ついて歩けるようになって、
家に帰ってピアノにむかうシーン。

コールはペダルが踏めなくて怒り狂うが、
それをリンダは、部屋の外のドアにもたれて泣く。

その場にいてなぐさめたら、プライドの高いコールをさらに傷つけるし、
どのみち「リハビリは自分との孤独な戦い」だから、
あえてコールを1人にさせたわけだ。この時のジャッド(リンダ役)の演技は好きだな。

また,いろんな大物ミュージシャンがゲスト参加し、ポーターの書いた曲を歌っている。
ナタリー・コール、アラニス・モリセット、ダイアナ・クラールあたりは
「ま、当然だろな」と思うが、意外なところでは
エルビス・コステロや、シンプリー・レッドのミック・ハックネル。
クラールとコステロは、現実にも夫婦だ。

ミックは、1度見ただけじゃわからないだろう。
ハリウッドMGM映画のために、コールがプールサイドで作曲をして
(このとき、プールサイドにいるのが、すべて男!水着美女はいないのだ)。
現実のコール・ポーターは、家の前に万国旗を掲げて、その旗が出てれば
「遊びに来い」って合図だったらしい(これも特典トークより)。

で、若いイケメンに囲まれ、やっつけ仕事で「I LOVE YOU」を作曲するが、
この曲がMGM映画のラストシーンで効果的に使われ、
観客と、MGM社長のルイス・B・メイヤーを泣かす(大ヒット確実と認めたから泣く)。

そのMGM映画の主人公であり歌手(エディ・ネルソン)役がミック・ハックネルだ。
実在の歌手としては、ネルソン・エディだな。
劇中劇の監督とカメラ担当(クレーンに乗っている)で登場しているのは、
「DE-LOVELY」それ自体のウィンクラー監督と撮影監督。これも,ややこしい。

次。ハリウッドのセット内で映画クランクアップの打ち上げパーティがあり、
この時に、ネルソン・エディ(ミック)も来ているし、
ゲイの秘密クラブの元締や,お仲間も来ている。

この時、L.B.メイヤーに請われてケヴィン・クライン本人が
パーティ・ステージ上で歌う「Experiment」が最高に素晴らしい。

夫妻が「SO IN LOVE」を歌うシーンにぐっと来るという人が多いが、
私は,あんなのはセンチメンタル過ぎる。

この「Experimennt」は、コール・ポーター自身の人生哲学を表すものだ。
さらに、ゲイの楽しい生活の暗喩でもある。
新しい「試み=Experiment」で、人生は素晴らしいものになるとの歌詞。

妻リンダは、その歌を友人から誉められ
「素晴らしい歌ね、奥様は、前からご存じでしたの?」と聞かれると
ただ一言「Intimetaly(とてもよく)」と答える。
コールの派手なゲイっぷりは、既にリンダにとって慣れ親しんだもの
になっていたから。ここのジャッドの演技もいい。


【きょうの付足し】

映画の中に実名で出てくるジェラルド&セーラのマーフィ夫妻。
1920〜30年代パリのアメリカ人たちの様子は,新潮文庫
「優雅な生活が最高の復讐である」(Living Well is the Best Revenge)に詳しい。愛すべき本だ。


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コメント
from: すなあらし   2005/08/23 9:35 PM
先週の日曜日に佐島に行って来たよ〜
カサゴうまかった〜
from: tad   2005/08/23 9:43 PM
カサゴって、刺身で食えるの?
焼物か揚物しか知らんけど。
ツノちゃん、来週、六本木行くからさ〜。宜しくね。
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